Review
-Indie Wire.com インディ・ワイヤー
新しい国際監督たちによるワールド・シネマ・レポート
/ 2003 トロント
「マーティン」、「インナー・ツアー」という2本の刺激的で入り組んだ構成のドキュメンタリー作品を制作後、34歳のイスラエル人フィルム・メーカーのラアナン・アレクサンドロヴィッチは彼の言うところの「現代おとぎ話」をそのフィクション映画のデビュー作品として選んだ。映画は、エルサレムに巡礼の旅にでる、小さな町からやってきた理想主義者のアフリカ人の男ジェイムズを追ってゆく。到着した途端に逮捕されてしまい、ウブでやがて牧師になるはずの彼ははからずも年季奉公として働くことを強いられてしまう。
ところが、生まれ持った起業家としての才覚をあらわすようになり、神に仕えることが優先だったのがテレビを買いたいという欲へとしだいに流されていく。アレクサンドロウィッチはジェイムズの約束の地に対する考察を、変わりゆく夢や今日のイスラエルの現状を見せることによって正し、非常に深刻な問題を軽いタッチで描いている。『ノー・マンズ・ランド』がそうであったようにこのフィルム・メーカーは、社会の欠点はむしろおもしろ可笑しく見せることによって、より適切に提起できると信じている。「比喩的であればあるほど脅迫的な観念をより効果的に伝えることができると思う」とは監督の弁。(省略) |